出勤しているがメンタル不調が疑われる社員にはどう対応するべき?産業医に相談できる範囲を解説

まだ欠勤は少ないのですが、メンタル不調が疑われる社員がいます。
我々にできることや、産業医の先生に相談できることを整理したいです。

軽症の場合は上司の1on1面談等で対応してもらいます。
遅刻・欠勤や生産性低下など客観的に不調がある場合は
産業医に相談することで、病院紹介や仕事の就業配慮を整理できます。
以下の記事で詳細を説明いたします。
出勤しているメンタル不調者への対応は実務上よくある課題
前回の記事では「休職中の社員への対応」について解説しましたが、
今回はもう一つよくあるご相談です。
👉 出勤しているがメンタル不調が疑われる社員への対応
実務上はこちらの方が難しく、判断に迷うケースが多い領域です。
メンタル不調のサインはどこで気づくか
メンタル不調といっても様々な状態がありますが、比較的わかりやすいサインとしては以下があります。
① 勤怠の乱れ
- 遅刻や欠勤が増える
- 特に直前の休みが増えたり、急にテレワークになったりする。
👉 これは客観的な事実なので、上司も動きやすいポイントです。
② 生産性の低下
- 今までできていた仕事ができない
- 納期に遅れる
- 新しい仕事を受けようとしない
さらに広い視点では、
- 同期入社の社員と比べて明らかに成長が遅れている
といった状態も含まれます。
③ 感情面の変化
- 明らかに元気がない
- 指導に対してイライラしやすい
- 注意後に欠勤・遅刻が増える
👉 こういった変化も重要なサインです。
初動対応:まずは上司の1on1
これらのサインが見られた場合、まずは
👉 上司による1on1面談
が基本です。
- 状況の確認
- 困っていることの整理
- 改善策を一緒に考える(上司の案を押し付ける出なく本人の案がベスト)
最近では、半期に一度実施されている企業も多く見られますが、回数を増やすなどして実施してもらいます。
仕事の困りごとを改善してもらうだけでメンタル面が改善することがあります。
産業医に相談するタイミング
次のような場合は、産業医への相談を検討します。
- 上司対応だけでは改善しない
- 対応に不安がある
- 時間的に十分な対応ができない
👉 この段階での相談は非常に有効です。
産業医を活用するメリット
産業医や保健師が関与することで
- 上司の負担を減らせる
- 専門的な対応ができる
- 本人の状態を整理できる
👉 上司は自身の仕事、多くの社員のマネジメントで業務多忙で疲弊している場合もあり、
実務の一部を「外注できる」という意味でも大きなメリットがあります。
面談はどのタイミングで行うべきか
よくある悩みが
👉 「いきなり産業医面談にしていいのか?」
という点です。
勤怠が乱れている場合
この場合はシンプルです。
- 遅刻・欠勤が見られる
- 元気がない様子がある
👉 「産業医面談を受けてもらいましょう」と伝えやすく、実施しやすいです。
軽度の不調の場合
一方で、
- 成長が遅れている
- 少し元気がない
程度の場合は
👉 すぐに産業医面談に繋げない方がよいケースもあります
- 上司の1on1で様子を見る
- 時間をかけて改善を待つ
という対応が実務上は多いです。すぐに産業医に相談となると、
社員にとっては病気扱いされていると、
上司との信頼関係を損なう可能性があります。
産業医面談を依頼すると何が変わるか
必要に応じて、月に1度程度面談を行います。産業医の役割は大きく3つです。
① 状況の整理
- いつから不調か
- どんな症状か
- 治療状況はどうか?
- 総合的に、長期的な目線で改善傾向か悪化傾向か
👉 面談を通じて客観的に整理します。
② 本人への支援(コーチング・カウンセリング)
- 生活習慣の見直し
- ストレスの整理
- 改善に向けた行動設定
👉 面談時間をしっかり取れるのが特徴です。
※あまり知られていないことですが、
一般の精神科診療では初診は30分程度かけて聴取することもありますが、再診からは5分診療などになる場合もあり、ゆっくり医師の診察がされることは少ないです。
一方、企業で行われる産業医面談では面談対応に30分から1時間かけることも一般的です。
③ 会社への提案(就業配慮)
産業医は意見書を作成し、
- 残業禁止
- 出張制限
- 業務軽減、職場転換
など具体的な対応を提案できます。
状況によっては休職提案も
面談の結果、
- このまま勤務継続は困難
- 休養が必要
と判断される場合には
👉 休職を提案するケースもあります
これにより、治療に専念できる環境を整えることができます。
まとめ
出勤しているメンタル不調者への対応は
- 上司の初動対応
- 産業医の専門的関与
をうまく組み合わせることが重要です。
産業医は
👉 状態の整理・本人支援・会社への提案
を行うことで、状況を改善に導く役割を担います。
迷った段階で早めに相談することが、結果的に最も効率的です。
👉その前に月にかかる料金やサービス内容が知りたい
よくある質問(Q&A)
上司が「少し様子がおかしい」と感じた段階で、人事に共有したほうがよいのでしょうか?
はい、明確な欠勤や診断書がなくても、上司が違和感を持った時点で人事に早めに共有することには意味があります。
産業医や保健師に相談すべきかも判断してくれる場合が多いです。
メンタル不調が疑われる社員への1on1では、どんな聞き方をするとよいのでしょうか?
大切なのは、最初から「メンタル不調ではないか」と決めつけて聞かないことです。
実務では、まずは仕事の事実から入る方が自然です。たとえば、
- 最近、遅刻や欠勤が少し増えていること
- 以前より業務の進み方が遅くなっていること
- 困っていることがないか確認したいこと
このように、上司が見えている客観的な変化を穏やかに伝えるのが基本です。
そのうえで、「何か困っていることはありますか」「仕事の進めにくさはありますか」など、本人が話しやすい聞き方をするとよいです。
反対に、「やる気がないのでは」「最近おかしいよ」などの言い方は、信頼関係を損ねやすいため避けた方が安全です。
本人は普通に働けているつもりでも、周囲だけが心配している場合は産業医に相談してよいのでしょうか?
はい、そのようなケースでも相談して問題ありません。
実際には、本人の自覚と周囲の見え方がずれていることは少なくありません。発達障害が隠れていたり、将来働けないことで、メンタル不調になる方もいるので、事前に相談して対策を講じておくことが大事です。
投稿者プロフィール

- 原産業医事務所 代表産業医
- 【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「原産業医事務所・梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
京都大学大学院(社会健康医学系専攻)を修了し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)






