産業医の契約時間は何時間が適切?会社規模ごとの目安と決め方を実務目線で解説

産業医を契約する際、何時間くらいの活動時間を確保すればよいのか、目安がわかりません。

従業員数によって目安は変わりますが、法律で時間が細かく定められているわけではありません。最初から固定しすぎず、実際の運用に合わせて調整していくのが現実的です。
産業医の契約時間はどう決まるのか
産業医の契約時間は、会社の規模(従業員数)にほぼ比例して増えていきます。これは、人数が増えるほど以下の活動量が増えるためです。
- 健康相談の件数
- メンタル不調者対応
- 安全衛生活動(職場巡視・安全衛生委員会など)
そのため「どの会社も同じ時間」という考え方ではなく、会社の実情に応じて決まるものです。
会社規模ごとの目安
50人規模:まずは最低限の活動(1時間程度)
50人以上になると、労働安全衛生法第13条により産業医の選任義務が発生します。この段階では、安全衛生委員会・職場巡視といった法令上必要な活動が中心です。
サービス業やIT企業など安全リスクが少ない場合は、月1回・1時間程度で回ることがほとんどです。
100人規模:活動の「質」が増えてくる
100人を超えてくると、法令以上の活動が増えてきます。
- 長時間労働対策・メンタルヘルス対策
- 健康診断後のフォロー
- 個別の健康相談への対応
単純な時間より「やることが増える」フェーズです。契約時間の上限を意識し始めるタイミングでもあります。
300人規模:メンタル対応が中心になる(2〜3時間)
300人規模になると、社員の1〜2%が休職・復職対応の対象になります。1人あたり30〜45分の面談が必要なため、これだけで数時間を要することも珍しくありません。月2〜3時間程度の契約になるケースが多いです。
500〜1000人規模:定期的な稼働が必要
さらに規模が大きくなると、週1回・数時間の稼働という形になる企業も出てきます。産業医面談・安全衛生委員会・継続的な健康管理が「常時発生する業務」になります。
1000人以上:専属産業医(フルタイム)
1000人を超えると、労働安全衛生法第13条第2項により専属産業医の選任義務が発生します。週4日・1日8時間の常勤が標準となり、保健師なども含めた産業保健体制が必要になります。
契約時間は法律で決まっているのか
よく聞かれる質問ですが、50人〜999人の企業では、産業医の契約時間に関する明確な法的規定はありません。専属産業医が義務となる1000人以上を除けば、「何時間契約しなければならない」という決まりはなく、企業と産業医の話し合いで決めることになります。
契約時間が少なすぎるとどうなるか
時間が少なすぎる場合に問題になるのは、安全配慮義務を果たせなくなる可能性です。
- 面談が滞り、休職・復職対応が遅れる
- 長時間労働者のフォローができない
- 安全衛生委員会や職場巡視が形骸化する
こうした状況が続くと、労働安全衛生法や労働契約法上のリスクにつながる可能性があります。
時間を増やすと何ができるようになるか
時間を増やすことで、法令対応を超えた取り組みが可能になります。
- 健康経営の推進・データ分析
- 社員向けの健康セミナー・保健指導
- ストレスチェック後の集団分析
どこまで活用するかは会社の方針によって大きく変わります。産業医が実際に何をしてくれるかについては → 産業医は何をしてくれる?仕事内容と実際の対応範囲 もあわせてご覧ください。
最初に決めすぎないことが重要
実務で一番重要なのはここです。最初から契約時間を固定しすぎないことが大切です。
実際には「やってみたら足りなかった」「思ったより活動が少なかった」ということは普通に起こります。毎月の運用の中で過不足を確認しながら調整していくのが、最も現実的な進め方です。
まとめ
産業医の契約時間は、会社規模に応じて増えていくのが基本ですが、法律で細かく定められているわけではありません。
- 50人規模:月1回・1時間程度から
- 300人規模:月2〜3時間程度
- 1000人以上:専属産業医(常勤)の義務
- 最初から固定せず、運用しながら調整するのが現実的
よくある質問
月1時間契約でも、緊急対応はしてもらえますか?
はい、可能です。
例えば、急なメンタル不調者の対応やトラブルが発生した場合、
通常の契約時間外での面談対応=追加料金になります。
契約時間を減らした場合、まず何が回らなくなりますか?
多くの場合、最初に影響が出るのは個別対応(特にメンタル対応)です。
安全衛生委員会などの定例業務は優先されるため、
削られるのは
・フォロー面談
・細かい相談対応
・復職後の経過確認といった部分になります。
結果として、
👉 「問題が起きた後の対応」が遅れる
というリスクにつながります。
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