産業医の初回の打ち合わせでは何を聞かれる?会社が準備すべき項目を整理します(後半)

産業医の先生と契約が終わり、初回の打ち合わせとなりました。
どのようなことを聞かれるでしょうか?何を準備すればいいでしょうか?

前回の続きです。
保健指導の運用、面談体制、記録管理、復職対応、教育体制、災害時対応
ご説明します。
以下の記事で詳細を説明いたします。
前半記事のおさらい(簡単に)
前半では、
- 就業規則
- 衛生管理者との連携
- 職場巡視
- 健康診断
など、産業保健の「基盤となる部分」を確認する内容でした。
後半では、
👉 より実務に近い運用部分を中心に確認していきます。
保健指導の方法(企業ごとの特徴が出る)
まず確認するのが、
👉 保健指導の実施方法です。
企業によっては、
- 保健師・看護師が在籍
- 独自の健康施策を実施
していることがあります。
例えば、
- 血圧が高い方への重点指導
- 不眠の訴えがある方へのフォロー
などです。
👉 これまで企業で行ってきた取り組みを教えていただくことが重要です。
その上で、
- 軽症は保健師
- 重症(例:血圧180以上など)は産業医
といった形で役割分担を分けて実施することが一般的です。
長時間労働者・高ストレス者の面談体制
次に重要なのが、
👉 面接指導の運用です。
確認するポイントは、
- どの残業時間で面談対象になるか
(月の残業時間が100時間・80時間・45時間など) - 対象者の割合
- 実際に面談希望がどの程度の割合で発生するか
また、
- 高ストレス者の発生率
- 高ストレス者の中で面談を希望されて実際に面談を実施している率
なども実務上は重要です。
👉 会社ごとの運用ルールを把握することで、無理のない体制を作ることができます。
(※詳細は別記事で解説予定)
記録の管理方法(紙かシステムか)
産業保健では、
- 健康診断
- 保健指導
- 面談
の記録管理が必要です。
最近では、
- 健康管理システム
- 電子カルテのようなツール
を契約して、社内に導入している企業もあります。
一方で、
- 紙で管理
- まだ仕組みがない
というケースもあります。
👉 その場合は、産業医側で面談記録等の情報を管理することもあります。
👉 どの方法で管理するかを事前に決めておくことが重要です。
復職対応・適正配置(実務の中心)
復職対応についても確認します。
ポイントは、
👉 産業医面談を実施するかどうか
です。
法令上は必須ではありませんが、
- メンタル不調
- 長期休職
の場合は、
👉 産業医面談を行う企業が非常に多いです。
実際には、
👉 この復職対応が産業医業務の大部分(8割程度)を占めることもあります。
そのため、
- 過去の対応実績
- 現在の対象者
- 個別対応の状況
などを少しずつ共有していただくことが重要になります。
労働衛生教育・健康教育の実施方法
教育についても企業ごとに違いがあります。
- 年1回の実施
- 必要時のみ
- 定期的に複数回実施
などです。
多くの場合、
👉 過去の実績をベースに継続することが多いです。
その上で、
- 回数を増やす
- 内容を見直す
などの調整を打ち合わせで行います。
産業医との定期的な打ち合わせ体制
実務を進める中で、
👉 産業医と企業の定期的な打ち合わせが重要になります。
- 人事・労務担当者
- 産業保健の窓口
と、
👉 月1回程度の打ち合わせを行うケースもが望ましいです。
これにより、
- 情報共有
- 課題整理
- 方針決定
がスムーズになります。
緊急時・災害時の対応(BCP)
最後に確認するのが、
👉 災害時の対応体制(BCP)です。
- 地震
- 感染症
- 災害
などは、発生してからでは対応できません。
そのため、
- 会社のBCPに産業医の役割があるか
- どのように関与するか
を事前に確認・調整します。
👉 事前のすり合わせが、実際の対応力に直結します。
まとめ
後半では、
- 保健指導
- 面談体制
- 記録管理
- 復職対応
- 教育
- 災害対応
といった、より実務的な内容を確認します。
ただし、
👉 これらすべてが最初から整っている必要はありません。
実際には、
👉 数年単位で産業医と企業が一緒に体制を作っていくものです。
またすべての活動をしていないといけないこともありません。法令の内容だけでも
十分な活動となります。その点は過去の記事をご参照ください。
そして、最初の打ち合わせはあくまでスタートであり、
そこから徐々に整えていくという認識で問題ありません。
👉その前に料金やサービス内容が知りたい
よくある質問(Q&A)
産業医との打ち合わせで「うちの体制は不十分」と思われないか不安です。問題ないでしょうか?
問題ありません。多くの企業は最初から体制が整っておらず、
産業医と一緒に作っていくケースが一般的です。
実際には、
- 面談体制が未整備
- 記録がバラバラ
- 運用ルールが曖昧
といった状態の企業も多く見られます。
👉 重要なのは「現状を正確に共有すること」であり、
👉 完成度よりも“改善できる状態”であることが大切です。
社内で誰が産業医対応の窓口になるべきですか?人事でなくても大丈夫ですか?
人事・労務が基本ですが、実務を把握している担当者であれば問題ありません。重要なのは情報が集約されることです。
よくあるパターンは、
- 人事労務が窓口
- 総務が対応
- 安全衛生担当者が中心
などです。
👉 ポイントは
- 情報が分散しないこと
- 産業医と継続的にやり取りできること
👉 役職より“機能する窓口”が重要です。
投稿者プロフィール

- 原産業医事務所 代表産業医
- 【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「原産業医事務所・梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか





