産業医は何をしてくれる?仕事内容と実際の対応範囲をわかりやすく解説

月に一度、産業医の先生に来社して活動してもらうことになりました。
どのような仕事をしていただきましょうか、、

法令で決まった“必須の業務”と、
それ以外の“法令外の自主的な活動”に分かれており、
企業の健康経営の考え方で産業医の業務は異なります。
以下の記事で詳細を説明いたします。
産業医の仕事内容は法律で決まっている
産業医の職務は、労働安全衛生法および労働安全衛生規則で定められています。
その中でもポイントは👇
👉 「必ずやらなければならない業務」と「必須ではない業務」があること
ここを理解しないと、
- 「何もしてくれない産業医」
- 「どこまで頼んでいいかわからない」
というズレが起こります。
【必須】産業医が必ず行うべき業務
① 健康診断の結果確認と就業判定
これは最も基本で、必ず行う業務です。
- 健康診断結果の確認
- 就業可能かどうかの判断
- 配慮が必要な労働者への意見
👉 法令で明確に義務化されています
例えば
- 「この人は通常勤務可能か」
- 「残業制限が必要か」
といった判断を行います。
② 長時間労働者への面接指導
長時間労働対策としての重要な業務です。
- 月80時間以上の時間外労働(目安で会社によって異なります。)
- 本人が希望した場合に面談
👉 これも法令上の義務
さらに重要なのは👇
👉 会社はその情報を産業医に提供しなければならない
つまり
- 産業医は「情報提供を求める立場」
- 会社は「情報を出す義務がある」
という関係です。
③ ストレスチェック後の面接対応
- 高ストレス者への面談です
- 本人が希望した場合に実施
👉 これも義務
メンタルヘルス対応の中核です。
④ 職場巡視(作業環境・作業管理)
いわゆる「産業医の巡視」です。
- 原則:月1回
- 条件により:2ヶ月に1回
ここでやることはシンプル👇
👉 問題があれば指摘すること
例えば
- 危険な作業環境
- 衛生状態の問題
などです。
※リスクアセスメントなどは必須ではありません
⑤ 安全衛生委員会への出席
産業医は委員会に関与します。
- 定期的な出席
- 健康管理に関する意見
👉 実質的に義務と考えてOKです
【任意】必須ではないが実務で重要な業務
ここからは「やるかどうかは企業や産業医次第」です。
⑥ 個別の健康管理対応
健康診断結果などをもとに👇
- 睡眠不足の人への面談
- 生活習慣病リスクへの指導
👉 義務ではないが重要
いわゆる
👉 ハイリスクアプローチ
⑦ 健康教育
例えば👇
- 禁煙指導
- 生活習慣改善
👉 これも義務ではない
⑧ 衛生教育
職場に応じた教育です。
- 有機溶剤のリスク
- 騒音対策(耳栓など)
⑨ 健康障害の原因調査と再発防止
- 労働災害
- メンタル不調の多発
- 休業されたメンタル不調者の復職面談(実質はこの活動が一番多いです。)
などがあった場合に👇
👉 会社と一緒に原因を考える
これも
👉 発生したら行わないといけませんが、平時は実施しません。つまり「必要に応じて」行う業務
重要:産業医の仕事は「全部やるわけではない」
ここが一番大事です。
産業医の業務は👇
👉 法令で決まった“最低限”がある
👉 それ以上は会社との契約・方針次第
つまり
- 最低限だけの産業医
- 積極的に関わる産業医
が変わってきます。また今回挙げたものは一例で活動、対策も多岐にわたります。
まとめ
産業医の仕事内容は
👉 必須業務(法律で決まっている)
👉 任意業務(企業や産業医次第)
に分かれます。
特に重要なのは👇
- 健康診断対応
- 長時間労働対応
- ストレスチェック
- 職場巡視
- 安全衛生委員会
この5つです。
そのうえで
👉 「どこまでやってくれるか」は契約と方針次第
ここを理解することで、
自社に合った産業医選びができるようになります。
よくある質問(Q&A)
休業者の会社への産業医復職面談は必須ではないのですね?
はい、実は違います。
従業員が50人未満の会社など産業医のいない会社もたくさんあり、復職面談の実施は現時点で法律になっていません。
主治医の診断書を元に復職可能かを会社が判断している場合が多くみられます。
しかし、元気に働けるか、復職後再発しないか、生産性が保てているか(休む前と同程度の仕事ができているか)など復職後のトラブルを防ぐためにも
産業医の面談と産業医意見書の作成がおこなわれており、
この活動に契約時間の大半がが割かれています。
1 産業医の職務について法令上の正式な文章も知りたいです
産業医の職務は安衛則第14条第1項に規定されており、具体的には次の事項で、「医学に関する専門的知識を必要とするもの」と定められています。
① 健康診断の実施およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
② 医師による面接指導が必要な長時間労働者への面接指導および安衛法第66条の9に規定する必要な措置の実施およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
③ ストレスチェックの実施ならびに高ストレス者に対する面接指導の実施およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
④ 作業環境の維持管理に関すること。
⑤ 作業の管理に関すること。
⑥ 労働者の健康管理に関すること。
⑦ 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
⑧ 衛生教育に関すること。
⑨ 労働者の健康障害の原因の調査および再発防止のための措置に関すること。
産業医が上記の職務を遂行するためには、職場の実態を知ることが不可欠ですので、産業医による職場巡視について安衛則第15条第1項で次のように定めています。
「産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が事業者から、毎月1回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2月に1回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。」
投稿者プロフィール

- 原産業医事務所 代表産業医
- 【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「原産業医事務所・梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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