産業医の初回の打ち合わせでは何を聞かれる?会社が準備すべき項目を整理します

産業医の先生と契約が終わり、初回の打ち合わせとなりました。
どのようなことを聞かれるでしょうか?何を準備すればいいでしょうか?

最終的には多くのことを教えていただきたいのですが、
初回の打ち合わせでは会社の事業内容や、
産業保健の担当者をご挨拶させていただくことが多いです。
以下の記事で詳細を説明いたします。
産業医は「会社の産業保健全体」を見ている
まず前提として、産業医の仕事は単独で完結するものではありません。
会社の中には、
- 安全衛生管理
- 健康管理
- 労務管理
といった「産業保健(労働衛生)」の枠組みがあり、
👉 その中の一つとして産業医の活動があるという位置づけになります。
そのため、打ち合わせでは産業医業務だけでなく、
👉 会社全体の体制を教えていただくことが重要になります。
すべてを最初に把握する必要はない
よくある誤解として、
「初回打ち合わせですべて説明しないといけないのでは?」
という不安があります。
実際には、
- 最初から全部把握するのは難しい
- 網羅的にお聞きすると3〜4時間など長時間の内容になる
ため、
👉 活動しながら徐々に理解していくケースが現実的です。
産業医が訪問するたびに、
- 必要な情報を確認
- その都度質問
していくことで、会社の実情を把握していきます。
就業規則の確認(特に重要)
まず最初に確認することが多いのが、
👉 就業規則です。
例えば、
- 有給がなくなった後の扱い
- 欠勤になって休職が命じられるまでの期間はどれくらいか
- 休職満了までの期間やルール
などです。
これは特に、
- メンタル不調者の対応
- 復職判断
- 就業制限
に大きく関わります。
👉 就業ルールを知らないと適切な判断ができないため、非常に重要なポイントです。
衛生管理者との連携体制
次に確認するのが、
👉 衛生管理者との連絡方法です。
産業医は、
- 職場巡視
- 安全衛生上の指摘
を行いますが、
👉 実際に改善を行うのは会社側(衛生管理者)です。
そのため、
- 誰に連絡するのか
- どのように対応されるのか
を事前に確認します。
また、安全衛生委員会の運営にも関わるため、
👉 業務が始まっての早期に顔合わせをしておくことが多いです。
看護職・保健師などの体制
会社によっては、
- 保健師
- 看護職
を雇用されて産業保健活動を行っている場合があります。
👉 この体制があるかどうかで、できることが大きく変わります。
例えば、
- 面談のフォロー
- 健康指導の実施
- 面談のスケジュール管理
などを分担できるため、
👉 産業医単独よりも量も質の高い産業保健体制が構築できます。
安全衛生委員会での産業医の役割
安全衛生委員会についても確認します。
特に重要なのが、
👉 産業医にどのような役割が求められているか
です。
例えば、
- 都度、議題についての意見を発現するのみ、
- 毎月15分の衛生講話がある
- 年1回のみ会社全体に対する1時間の衛生講話を行う
など会社によって大きく異なります。
👉 事前に把握しておくことで、準備を含めスムーズに活動が実施できます。
職場巡視の方法と記録
職場巡視についても重要な確認項目です。
- 毎月同じ場所を見るのか
- 年間で全体を回るのか
また、
- 記録フォーマットは誰が作るのか
- 産業医が記録するのか
- 会社の様式に押印するのか
👉 実務のやり方は会社ごとに異なるため、事前確認が必要です。
作業環境測定の確認方法
会社によっては、
- 空気環境測定(CO₂、湿度など)
- 有機溶剤
- 粉じん
などの測定を実施しています。
👉 これらの結果をどのように確認するかを決めておきます。
一般的なオフィスでも、法令(事務所衛生基準規則など)に基づき
- 2か月に1回の空気環境測定
などがあるため、
👉 産業医に共有いただくことが必要です。
健康診断の実施体制
健康診断については、
- 誰が管理しているか
- どのような流れで実施しているか、例えば
- 会社の敷地内での集団健診か、社員ごとに健診を個別で受けに行ってもらっているのかなど
を確認します。
企業側で工夫されて運用されていることが多いですが、
👉 産業医に伝えてもらうことで、他社事例などをお伝えし、効率化や改善提案ができるポイントでもあります。
健診結果の判定、就業上の意見の出し方
健康診断後の対応も重要です。
- 就業制限の判断
- 配置転換
- フォロー面談
など、
👉 会社ごとに運用が異なります。
この点は内容が多いため、別記事で詳しく解説していきます。
まとめ(前半)
産業医との打ち合わせでは、
- 就業規則
- 担当者との連携
- 安全衛生委員会
- 職場巡視
- 健康診断
など、会社の産業保健体制全体を確認します。
ただし、
👉 最初からすべて完璧に共有する必要はありません。
実際には、
👉 活動しながら少しずつ理解していく形が一般的です。
明日の後半では、
- 面談対応
- 記録管理
- 災害時対応
などのポイントについて解説していきます。
よくある質問(Q&A)
産業医との打ち合わせ前に、何も準備していない状態でも問題ないですか?
問題ありませんが、最低限「担当者」と「会社の業務や概要」だけ整理しておくとスムーズです。
初回の打ち合わせで全てを説明できる企業はほとんどありません。
実務では、産業医が訪問しながら少しずつ体制を把握していくことが一般的です。ただし、
- 誰が窓口になるのか
- どのような事業を行っているのか?
この2点だけでも整理しておくと、その後の進み方が大きく変わります。
産業医にどこまで社内情報を開示すべきか迷っています。どこまで共有すればいいですか?
就業規則や健康管理に関わる情報は基本的に共有をお願いしています。
特に、
- 休職・復職ルール
- 長時間労働の管理方法
- 健康診断の運用
は産業医の判断に直結します。
守秘義務があるため、必要な情報は開示した方が適切な支援につながります。
投稿者プロフィール

- 原産業医事務所 代表産業医
- 【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「原産業医事務所・梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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