産業医はいつから必要?何人から選任義務がありますか?

関西地区に営業支店がいくつかあり、
各拠点50人は超えてないのですが、合わせて200人の社員が点在しています。
産業医の選任についてはどう考えたらいいでしょうか?

その条件ですと選任は必要ありません。
基本は常時50人以上の事業場で産業医の選任義務が発生します。
人数の数え方や事業場単位の考え方が重要なポイントです。
以下の記事で詳細を説明いたします。
産業医は何人から必要?基本ルール
産業医の選任は、「常時50人以上の事業場」で義務となります。
ここでいう「選任」は、社員として雇うという意味ではなく、業務委託や非常勤として外部の産業医と契約する形が一般的です。
まずはこの50人というラインが、実務上の最も重要な分岐点になります。
「常時50人」の数え方(ここが一番つまずく)
人数のカウントはシンプルなようで、実務ではよく迷われます。
基本的には、健康診断の対象者の考え方と同じです。
- 正社員 → 含む
- 契約社員 → 含む
- パート・アルバイト → 週の労働時間が正社員の3/4以上なら含む
- 週1回など短時間勤務 → 含まない
- 派遣社員 → 含まない(雇用元が別会社のため)
つまり、「実質的に常勤に近い働き方をしている人」をカウントして50人を超えるかどうかがポイントです。
会社全体ではなく「事業場ごと」で判断する
ここも非常に重要です。
産業医の選任は、会社全体ではなく「事業場単位」で判断します。
例えば:
- 大阪支店:60人 → 選任義務あり
- 和歌山支店:15人 → 単独では義務なし
- 滋賀支店:20人 → 単独では義務なし
この場合、実務では
大阪支店を主たる事業場として産業医契約を行い、他拠点もカバーする
という形がよく取られます。
逆に言うと、和歌山支店単独で産業医を選任する必要はありません。
選任しないとどうなるのか(よくあるパターン)
実際には、何も起きなければ表面化しません。
ただし問題が起きたときに一気に顕在化します。
よくあるのが:
- 労災(ケガ・事故・メンタル不調)発生
- 労基署の調査が入る
- 安全体制+産業保健体制の確認
- 産業医未選任が発覚 → 指導・是正
- 罰則有(50万円以下の罰金)の適応(安衛法第120条、122条)
一度指導が入ると、その後の管理も厳しくなり、企業側の負担が増えます。
結果として、「あとから整える方が大変」というケースが多いです。
規模が大きくなるとどうなるか
さらに規模が大きくなると、要件は変わります。
- 500人以上
→ 危険業務や夜勤がある場合、専属産業医が必要になるケースあり - 1000人以上
→ 専属産業医が必要 - 3000人以上
→ 産業医2名以上が必要
ただし、3000人規模の単一事業場は現在では多くなく、主に大規模工場などが対象になります。
(安衛則第13条第1項)
意外と多い注意点:同じ場所でも「会社が違う」
現場でよくある落とし穴です。
例えば1つの工場の中に、
- 親会社
- 子会社A
- 子会社B
が存在しているケース。
見た目は一体でも、法人が別であればそれぞれで50人判定になります。
つまり:
👉 同じ場所でも、会社ごとに産業医契約が必要
👉 安全衛生委員会も会社ごとに必要
ここは見落とされやすい重要ポイントです。
まとめ
- 産業医は「常時50人以上の事業場」で選任義務あり
- 人数は健康診断と同じ基準でカウント
- 会社全体ではなく事業場ごとで判断
- 未選任は労基署指導のリスクあり
御社の状況でご判断が難しい場合はご気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
支店が分かれる場合、産業医職場巡視はどうすべきですか?
50人以上の支店がある場合は、産業医職場巡視が2か月に1回必要になりますので、
各支店で実施をおこないます。
50人未満のところを合わせて活動する場合は、その義務はありません。
ですが、労働者の働く環境を確認するために、1年に1度など伺う方が良いとされています。
投稿者プロフィール

- 原産業医事務所 代表産業医
- 【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「原産業医事務所・梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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